.【2026年最新】福岡県における盛土規制法の適用エリアと許可が必要な工事基準まとめ


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2026年8月24日更新|福岡県版

【2026年最新】福岡県における盛土規制法の適用エリアと許可が必要な工事基準まとめ

福岡県では、現在、福岡市・北九州市・久留米市を含む県内全域が「宅地造成等工事規制区域」または「特定盛土等規制区域」のいずれかに指定されています。宅地だけでなく、農地・山林・資材置場・駐車場の造成や残土の一時仮置きも対象になり得ます。

  • 県内全域の適用状況を整理
  • 許可・届出基準を区域別に解説
  • 行政協議から図面作成まで支援

先に結論

2026年現在、福岡県内では「この市町村だから盛土規制法の区域外」という考え方は基本的にできません。県内60市町村の全域が、所管行政庁ごとに宅造区域または特盛区域へ指定されています。

ただし、同じ面積・高さの工事でも、区域の種類と所管行政庁によって「許可」「届出」「手続不要」の判定が変わります。特に福岡市と久留米市には、国の標準基準と異なる独自の取り扱いがあります。

盛土規制法とは|宅地以外の造成や土砂の仮置きも対象

盛土規制法の正式名称は「宅地造成及び特定盛土等規制法」です。2021年に発生した静岡県熱海市の土石流災害等を踏まえ、従来の宅地造成等規制法が抜本的に改正され、2023年5月26日に施行されました。

従来は、宅地造成を中心とした区域・目的別の規制でした。現在は、土地の用途や工事の目的を問わず、盛土等によって人家等へ被害を及ぼすおそれがある区域を広く指定し、一定規模以上の工事を許可または届出の対象としています。

土地用途を問いません

宅地だけでなく、農地、森林、資材置場、駐車場、太陽光発電施設用地なども対象になり得ます。

切土も対象です

土を盛る工事だけでなく、地盤を掘り下げる切土や、盛土と切土を組み合わせた造成も対象です。

一時的な堆積も対象です

残土置場、ストックヤード、工事用土砂の仮置きなど、一定期間後に搬出する土石の堆積も対象です。

「盛土等」には何が含まれる?

本記事では、盛土・切土による土地の形質変更と、土石の一時的な堆積を合わせて「盛土等」と表記します。

2026年現在の福岡県内の適用エリアと運用開始日

福岡県内では、所管行政庁ごとに運用開始日が異なります。県が所管する57市町村と、独自に所管する福岡市・北九州市・久留米市を分けて確認する必要があります。

所管行政庁対象地域運用開始日現在の指定状況
北九州市北九州市全域2025年4月1日市全域を宅造区域または特盛区域に指定
福岡市福岡市全域2025年5月26日市全域を宅造区域または特盛区域に指定
福岡県福岡市・北九州市・久留米市を除く57市町村2025年10月1日県所管地域の全域を宅造区域または特盛区域に指定
久留米市久留米市全域2026年4月1日市全域を宅造区域または特盛区域に指定

2種類の規制区域

宅造区域

宅地造成等工事規制区域

市街地、集落、その周辺など、盛土等が行われた場合に人家等へ危害を及ぼすおそれがある区域です。比較的小規模な工事から許可対象になります。

特盛区域

特定盛土等規制区域

市街地や集落から離れていても、地形等の条件により災害のおそれがある区域です。一定規模は届出、より大規模な工事は許可対象になります。

住所だけでは区域を確定できない場合があります。

区域境界が道路、水路、地形、筆界等に沿っていることがあり、同じ町内や同一計画地の中で区域が分かれる場合もあります。必ず各行政庁のGIS・規制区域図で地番単位の確認を行いましょう。

許可または届出が必要になる工事の基準

以下は、国の政令基準を基本とした整理です。福岡県所管地域と北九州市では、原則としてこの区分を基に要否を判定します。福岡市・久留米市の独自基準は次の章で解説します。

なお、「崖」とは、原則として地表面が水平面に対して30度を超える角度をなす土地で、硬岩盤(著しく風化したものを除く)以外のものをいいます。

宅地造成等工事規制区域の許可対象

区分許可が必要になる規模
土地の形質変更
(盛土・切土)
盛土により、高さ1m超の崖が生じるもの
切土により、高さ2m超の崖が生じるもの
盛土と切土を同時に行い、高さ2m超の崖が生じるもの(上記を除く)
崖を生じない場合でも、盛土の高さが2m超となるもの
盛土または切土をする土地の面積が500㎡超となるもの(高さによる基準に該当するものを除く)
一時的な土石の堆積最大堆積高さが2m超、かつ、堆積面積が300㎡超となるもの
最大時の堆積面積が500㎡超となるもの

特定盛土等規制区域の届出・許可対象

特盛区域では、宅造区域の許可対象と同程度の規模が原則として「届出対象」となり、それを上回る大規模な工事が「許可対象」となります。届出対象工事は、原則として工事着手の30日前までに手続きが必要です。許可基準に該当する場合は、届出ではなく許可を受けます。

工事内容届出一般基準許可大規模基準
盛土による崖高さ1m超高さ2m超
切土による崖高さ2m超高さ5m超
盛土・切土による崖高さ2m超高さ5m超
崖を生じない盛土高さ2m超高さ5m超
盛土・切土の面積500㎡超3,000㎡超
土石の堆積(高さ+面積)高さ2m超かつ300㎡超高さ5m超かつ1,500㎡超
土石の堆積(面積)500㎡超3,000㎡超

面積基準では30cm以下の部分を除いて判定する取り扱いがあります。

国の標準的な面積基準では、盛土等の前後の標高差が30cm以下の部分は、許可・届出の規模判定面積に含めない取り扱いがあります。ただし、申請書記載面積や手数料算定面積とは扱いが異なることがあるため、造成範囲全体と高さ30cm超の範囲を図面上で分けて整理することが重要です。

工事を分割しても、別工事として扱われるとは限りません。

隣接・近接する工事について、事業者、位置、利用目的、施工時期などから一体性が認められる場合、全体面積で規模を判定されることがあります。名義や工期だけを分けても、実質的に一つの造成計画であれば一体工事と判断される可能性があります。

要注意|福岡市・久留米市には独自の基準があります

福岡市:特盛区域の許可対象を一部引き下げ

福岡市は条例により、特定盛土等規制区域における許可対象規模の一部を国の基準より引き下げています。特に、面積で判定する計画と土石の一時堆積は注意が必要です。

福岡市・特盛区域の項目国の標準的な許可基準福岡市の許可基準
盛土・切土の面積3,000㎡超1,000㎡超
土石の堆積(高さ)高さ5m超かつ1,500㎡超高さ5m超
土石の堆積(面積)3,000㎡超1,000㎡超

そのほかの高さ基準は、原則として国の大規模基準と同様です。また、福岡市の面積基準では、盛土等前後の標高差が30cm以下の部分を規模判定面積から除く取り扱いがあります。

久留米市:面積基準における高さの除外を30cmから1mへ緩和

久留米市では、面積によって許可・届出の要否を判定する際の高さ基準について、国の標準的な「30cm」を「1m」に緩和しています。この考え方は、盛土・切土だけでなく、土石の一時的な堆積や特盛区域の判定にも適用されます。

例:久留米市で広い土地を50cm程度かさ上げする場合

面積が500㎡を超えていても、標高差が1m以下の部分のみで構成され、ほかの高さ基準にも該当しなければ、盛土規制法上の許可・届出が不要となる可能性があります。ただし、工事全体の最高高さ、崖の発生、隣接工事との一体性、開発許可その他の法令を含めた個別判断が必要です。

北九州市・福岡県所管地域

北九州市と、県が所管する57市町村では、原則として前章の国の基準を用いて許可・届出の要否を判定します。ただし、区域境界、工事の一体性、対象外工事の解釈、必要図面や事前相談方法は行政庁ごとに確認が必要です。

盛土規制法の許可申請から完了までの一般的な流れ

許可対象工事は、原則として許可を受ける前に着手できません。土地購入、設計確定、造成業者との契約を先行させると、擁壁・排水・造成高の見直しが必要になり、事業日程と費用に大きな影響が出る場合があります。

計画地・規制区域・許可要否の確認

地番、現況地盤、計画地盤、造成面積、最大高低差、崖の有無、土量を整理し、宅造区域・特盛区域のどちらかを確認します。

所管行政庁との事前相談・事前協議

土地利用計画、造成計画、擁壁、法面、排水先、工事工程などを提示し、必要な許可と技術基準を確認します。

測量・地盤調査・設計図書の作成

現況測量図、造成計画平面図・断面図、排水計画図、擁壁構造図、安定計算書等を準備します。計画内容により資格を有する設計者が必要です。

土地所有者等の同意と周辺住民への周知

工事区域内の土地について、所有権、地上権、賃借権など使用・収益を目的とする権利を有する方の同意を取得します。許可申請前に、説明会、書面配布、掲示等による周辺住民への周知も行います。

許可申請・行政審査

申請書、資力・信用関係資料、同意書、周知結果、図面、計算書等を提出します。審査中の補正や計画変更に対応し、許可を受けます。

工事着手・標識設置・施工管理

許可後に工事へ着手します。現場標識を掲示し、許可図面どおりに施工します。暗渠排水など完成後に見えなくなる工程は、写真管理と検査時期の調整が重要です。

中間検査・定期報告

一定規模以上の工事や特定工程を含む工事では、中間検査や定期報告が必要です。都市計画法の開発許可による「みなし許可」の場合でも適用されることがあります。

完了検査・検査済証の交付

工事完了後に完了検査を受けます。土石の堆積については、許可期間内に土石を除却したうえで確認を受けます。

福岡市では、許可申請前の事前協議、予定標識の設置、周辺住民への事前説明などが手続きに組み込まれています。申請書を作成してから相談するのではなく、造成計画の初期段階で協議を始めることが重要です。

許可申請で準備する主な資料・図面

必要書類は、工事内容、面積、区域、擁壁の有無、地形、他法令の手続きにより異なります。一般的には、次の資料を基に申請図書を組み立てます。

土地・権利関係

  • 土地の登記事項証明書、公図
  • 土地所有者・権利者の同意書
  • 申請区域、周辺土地、公共施設の資料
  • 他法令の許認可・協議状況が分かる資料

工事主・施工者・設計者関係

  • 工事主の本人・法人確認資料
  • 資金計画、資力・信用に関する資料
  • 工事施行者の能力・工事経歴資料
  • 設計者の資格を証する資料

造成・排水・構造図面

  • 位置図、現況図、土地利用計画図
  • 造成計画平面図、造成計画断面図
  • 排水計画平面図、排水施設構造図
  • 擁壁・崖面崩壊防止施設の構造図
  • 土石の堆積計画図、空地・柵等の計画

計算・調査・説明関係

  • 地盤調査・土質調査資料
  • 擁壁の構造計算、盛土の安定計算
  • 排水流量・施設能力の検討資料
  • 周辺住民への周知結果報告書
  • 現況写真、工事工程表

実務では「水を安全に流せる計画」が重要です。

盛土の高さや擁壁だけを整えても、造成後の地表水が滞留したり隣地へ流出したりすれば、安全な計画とはいえません。集水区域、計画高、縦横断勾配、側溝・集水桝・放流先、必要に応じた流量計算まで一体で検討することで、審査段階や施工段階の手戻りを減らせます。

開発許可・農地転用・森林法など、ほかの手続きとの関係

盛土規制法の許可が不要でも、別の法律や条例による許可が必要なことがあります。逆に、都市計画法の開発許可を受けることで、盛土規制法の許可を受けたものとみなされる場合もあります。

関連制度主な確認事項
都市計画法の開発許可都市計画法第29条の開発許可を受ける工事が盛土規制法の対象を含む場合、原則として盛土規制法の許可を受けたものとみなされ、別途の盛土許可申請は不要です。ただし、盛土規制法の技術基準、中間検査、定期報告等が適用されることがあります。
農地法・農振法農地を駐車場、資材置場、宅地等へ転用する場合は、農地転用許可・届出や農振除外が必要になる場合があります。盛土規制法とは別に手続きを進めます。
森林法地域森林計画対象民有林の開発や保安林内の行為は、林地開発許可や伐採関係手続き等の対象になる場合があります。
砂防法・急傾斜地法・地すべり等防止法指定区域内の掘削、盛土、切土、土石の堆積等について、別途許可が必要になる場合があります。
県土砂条例福岡県では、3,000㎡を超える土砂の埋立て・盛土・堆積について、県条例の許可対象となる場合があります。
道路・河川・下水道出入口、側溝接続、橋梁、放流、下水道施設等の計画により、道路法、河川法、法定外公共物、下水道関係の承認・許可が必要になる場合があります。

「開発許可があるから盛土規制法を考えなくてよい」わけではありません。

みなし許可であっても、造成・擁壁・地盤・排水の計画には盛土規制法の技術基準が関係します。開発許可の申請図面と盛土規制法の基準を別々に検討せず、当初から整合させる必要があります。

許可・届出が不要になる主なケース

規模未満の工事のほか、法律上の公共施設用地や、災害発生のおそれがないものとして政令・省令で定められた工事などは、許可・届出が不要となる場合があります。

  • 道路、公園、河川など一定の公共施設用地で行う工事
  • 国や地方公共団体等が非常災害のために行う応急措置
  • 法令に基づく一定の鉱山、採石、砂利採取、土地改良等の工事
  • 通常の営農行為の範囲にある耕起、代かき、整地、畝立て等
  • 工事に付随し、その工事で使用・発生する土石を工事現場または付近へ一時堆積する一定のもの
  • 各区域の高さ・面積基準に達しない工事

手続不要でも、土地所有者等の維持保全責任がなくなるとは限りません。

規制区域内の土地所有者等には、過去に行われた盛土を含め、土地を常時安全な状態に維持する努力義務があります。また、農地転用や開発許可など、別手続きの要否は別に確認してください。

福岡県の盛土規制法に関するよくある質問

Q1. 500㎡以下なら、必ず許可は不要ですか?

いいえ。面積が500㎡以下でも、盛土で高さ1m超の崖が生じる場合、切土で高さ2m超の崖が生じる場合など、高さ基準に該当すれば宅造区域では許可が必要です。面積と高さの両方を確認します。

Q2. 農地に土を入れて畑を高くするだけでも対象ですか?

対象になり得ます。土地の用途や工事目的を問わないため、農地の盛土でも規模基準に該当すれば許可または届出が必要です。通常の営農行為に該当するか、農地転用や農振関係の手続きが必要かも併せて確認します。

Q3. 駐車場をつくるためのかさ上げも対象ですか?

対象になり得ます。砂利敷きや舗装の名称ではなく、現況地盤と計画地盤の差、施工面積、崖の有無など、実際の土地の形質変更で判定します。

Q4. 工事現場の残土を一時的に置くだけでも許可が必要ですか?

土石の一時堆積も規制対象です。ただし、当該工事に付随して発生・使用する土石を現場またはその付近へ堆積する一定のものは、手続不要となる場合があります。別の土地へ運んでストックする場合などは、個別確認が必要です。

Q5. 開発許可を取れば、盛土許可は不要ですか?

都市計画法第29条の開発許可を受ける対象工事は、盛土規制法の許可を受けたものとみなされる場合があります。ただし、盛土規制法の技術基準、中間検査、定期報告等が関係するため、開発許可の設計段階から両制度を確認する必要があります。

Q6. 擁壁がなければ盛土許可は不要ですか?

いいえ。擁壁の有無だけでは決まりません。崖を生じない平地盛土でも、高さや面積の基準に該当すれば許可・届出の対象になります。

Q7. すでにある盛土にも法律は関係しますか?

関係します。規制区域内の土地所有者等には、既存の盛土を含めて安全な状態に維持する努力義務があります。災害防止上必要な場合は、行政による勧告・改善命令等の対象になることがあります。

Q8. 無許可で工事をするとどうなりますか?

工事停止や是正措置の命令に加え、無許可行為や命令違反等には最大で拘禁刑3年以下または罰金1,000万円以下、法人には最大3億円以下の罰金が科される場合があります。着手前の確認が重要です。

あさひな行政書士事務所の盛土許可サポート

当事務所では、福岡県内の盛土許可について、単に申請書を作成するだけでなく、計画初期の許可要否判定、行政庁との事前協議、造成・排水計画の整理、申請図面作成、他法令の確認まで一貫して支援します。

許可要否を初期確認

地番、区域、面積、現況高・計画高、崖の有無を整理し、計画を進める前に必要な手続きを確認します。

図面と排水まで検討

造成計画平面図・断面図だけでなく、勾配、側溝、集水桝、放流先、必要に応じた流量検討まで行います。

関係専門家と連携

測量、地盤調査、擁壁の構造計算など、資格者による対応が必要な部分は、土地家屋調査士・建築士等と連携します。


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